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復讐者マルス神殿
[所在地] フォリ・インペリアーリ ローマ ラツィオ イタリア Fori Imperiali, Roma, Lazio, Italia
アウグストゥスのフォルムの北西の端に位置する神殿。前42年、当時はまだオクタウィアヌスであったアウグストゥスが、養父カエサルの復讐成功を祈願して、復讐者マルスMars Ultorに奉献を誓った。スエトニウスの証言(『ローマ皇帝伝・アウグストゥス』29によれば、「マルス神殿はピリッピの戦いのとき、アウグストゥスが父カエサルの復讐のために奉献を誓っていたものである。それゆえ今後、戦争と凱旋式を審議する際、元老院はここに集まること、軍隊指揮権をもって属州に赴任する総督は、ここから先駆警吏に先導されて出立すること、また勝利者として帰還した者は、ここに凱旋将軍の憲章を奉納することを慣例とするように(アウグストゥスは)定めた」。(國原吉之助訳)
アウグストゥスは、この神殿を自らの所有地に、戦利品の売り上げを用いて建設したと述べている(
Res Gestae, 21)。

かなりの高さがある基壇の上に、列柱を配した広いポーチと、ほとんど正方形のケッラが載っていた。フォルムの地表から、ポディウムの上までは、十七段の階段がある。階段の中央に設置された四角いものは祭壇。神殿につかわれている円柱はコリント式。周円柱式(ペリプテロス)であるが、後ろの部分には柱のない、 sine postico とよばれるタイプである。柱の数は、前面が八本、側面が八本(Ward-Perkinsは九本とする)づつで、カッラーラの白色大理石でつくられていたあった。現在残っているのは右側の三本だけで、高さは17.70メートル。
参考文献
- J.B. Ward-Perkins, Roman Imperial Architecture (Integrated Second Edition), Harmondsworth/ Penguin Books, 1981 (First edition in 1970), pp. 28-33, 40.
- Amanda Claridge, Rome. An Oxford Archaeological Guide. Oxford/ Oxford University Press, 1998, pp. 158-159.
- Filippo Coarelli, Roma (Guide Archeologiche Laterza), Roma-Bari/ Laterza, 2001, pp. 133-134.
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